フレイルとは
「フレイル」は、英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源となっており、「虚弱」や「老衰」を意味します。
「疲れやすい」「歩くのが遅くなった」「ムセるようになった」というような、体力や筋力の低下などの老化が加速し、心身の衰えが進んだ状態です。
若い頃は体力や筋力が十分にあり、脳の活動も活発ですので、余裕を持って生活しています。
そのため、多少のケガや体調の悪い時があっても、普段のペースを崩さずに生活できます。
しかし、フレイルになるとその余裕がなくなっているので、アクシデントや体調の変化などのストレスに対応しきれずに、一気に要介護になってしまうのです。
フレイルの基準
フレイルの基準としてよく用いられているのは、『日本版CHS基準』というもので、以下の5つの項目から成り立ちます。
①6ヶ月で2〜3Kgの体重減少がある
②握力が、男性は26Kg未満、女性は18Kg未満である
③「何をするのも面倒だ」と週に3〜4日以上感じる
④歩行速度の低下
⑤運動や体操などを週に1回も行っていない
3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイル(フレイル予備軍)と判断します。
フレイルと健康寿命の関係
「健康寿命」とは、人が「健康上の問題で日常生活が支障なく生活できる期間」のことです。
そのため、健康な状態からフレイルまでが「健康寿命」といえます。
2019年厚生労働省によると、男性の健康寿命は72.68歳、女性の健康寿命は75.38歳と発表されています。
健康寿命と生物学的寿命には、およそ10年の差があるといわれています。
この差を縮めるためには、フレイルを予防し、運動をしたり、栄養をつけたり、社会参加をすることが大切になります。
東京都健康長寿医療センター研究所で2012年に行われた全国高齢者パネル調査の結果によると、65歳以上の高齢者のうち、8.7%がフレイルに該当していました。
また、プレフレイル(フレイル予備軍)は40.8%でした。
フレイルの3つの側面
フレイルは、高齢者に出現する状態を多方面からとらえる概念であり、筋力低下などの身体的側面だけでなく、精神や心理的側面、さらには社会的側面も含まれます。
この 3 つの側面を、それぞれ「身体的フレイル」、「精神・心理的フレイル」、「社会的フレイル」と呼びます。
身体的フレイルには、筋力低下などの運動機能低下だけでなく、硬いものが噛みづらくなるなどの口腔機能低下や食欲不振による低栄養も含まれます。
精神・心理的フレイルは、うつ病や認知症など、こころや認知面の状態が活動に影響することで、日常生活動作の低下につながる状態を指します。
また社会的フレイルは、独居や閉じこもり、または経済的困窮など、日常の活動量が制限されてしまうような社会的な問題を抱えている状態を指します。
そして、これらの3つの側面はお互いに関わり合っています。
そのため、フレイルを改善するには、これらの3つの側面からアプローチをすることが必要になります。